WS17
日本行動療法学会 第35回研修会

WS17
タイトル:
臨床行動分析から行動活性化そしてACTへ
講師:
熊野宏昭

所属:
早稲田大学人間科学学術院

対象:
初級~上級

定員:
80名
このワークショップは定員に達しております。


概要
 臨床行動分析とは、「行動分析学に基づく認知行動療法」と言ってよく、次のような特徴を持つ。①心理士が外来の支援場面で一般的によく出会う問題や状況を対象とし、行動分析学の前提・原理・方法を、現代の言語や認知に対するアプローチの仕方に特別な注意を払いつつ、応用する。②対象となる問題としては、正常に発達した大人が呈する臨床的障害の、発症・維持・治療に寄与する変数やプロセスを同定していくことが含まれる。③このような問題に対処する際に治療者は、クライエントの行動の強化随伴性に対して、面接場面以外では直接的なコントロール力を持たず、治療を進めるためには言語的な介入に頼るのが特徴である(Dougher MJ, Hayes SC, 2000)。
 このワークショップでは、最初に、臨床行動分析の基本を、ルール支配行動、行動クラスへの注目、機能分析の進め方という観点から説明し、これまで綾瀬駅前診療所のケース・カンファレンスの中で開発してきた「行動分析チェックリスト」の使い方を、ABCDE分析とそれに基づく介入ポイントの案出という点から解説する。次に、臨床行動分析を基本に忠実にうつ病治療に適用している行動活性化療法(BA)について、「活動記録表」の使い方を含めて説明をすることで、行動の機能、文脈、人生の方向性(価値)といった鍵概念とともに、それを介入に活かす具体的な方法論を概説する。そして、正の強化が得られる行動を増やすという側面を強調するBAに対して、刺激等価性や関係フレーム理論といった言語行動の基礎研究の発展に基づいて、言語行動が非言語行動に対して持つ抑制機能に注目し、その結果アクセプタンスの方向に一層の発展を見たアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)へと続く、連続的な理解を可能にする。
 つまり、BAとACTでは、上記の臨床行動分析の3つの特徴のうち、①の後半に含まれる「現代の言語や認知に対するアプローチの仕方に特別な注意を払いつつ」という側面が、BAではそれほど強調されてはおらず、ACTで初めて本格的に活用されることになったのである。逆に言えば、ACTでは、コミットメントの要素(価値づけとそれにコミットした行為を増やすこと)は必ずしも理解しやすくないのだが、その側面に関しては、BAの方がずっと自覚的に取り組んでいるために、両者は補完的に学習することが効果的なのである。
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