WS3
日本行動療法学会 第35回研修会

WS3
タイトル:
Schema Mode Work
講師:
Young Hee Choi

所属:
Director:Mettaa Institute of Cognitive Behavior Therapy & Schema Therapy

対象:
指定なし

定員:
80名


概要
English
 過去20年に及ぶ臨床経験の中で、私は、いわゆる科学的根拠に基づく心理療法アプローチを会得し、それを患者に応用してきた。結果は良い場合もあれば悪い場合もあったが、幸いなことに、治療抵抗性の障害に遭遇するたびに必ず解決策を見つけることができた。ほとんどの治療抵抗性障害には、パーソナリティの問題が関係していた。
 われわれは通常、これを「第2軸の問題」と呼んでいる。私は常に、患者が訴える表面的な症状が、根底にある内容とどのように密接に結びついているかを見いだすことができた。そうした根底にある内容に付けられた名前が何であろうと、必要なのは、あらゆる種類の反応をコントロールしているそれらの内容に直接焦点を当てることのできる解決策であった。
 さまざまな解決策の中で私が最適な解決策として挙げるのは、スキーマ療法である。スキーマ療法認定士(certified schema therapist)として、私はジェフリー・ヤング博士を師と仰いでいる。したがって、ここでは、第37回JABT年次大会のワークショップの抄録として、博士の名著『スキーマ療法-パーソナリティの問題に対する統合的認知行動療法アプローチ』の中から、「スキーマ療法のモードワーク」の章を要約して紹介することにする。
 モードとは、個人の中で現在働いている一組のスキーマ、またはその働き(適応的または不適応的)をいう。モードという概念は、重症度の低い患者から高い患者へと順にモデルの焦点を当てていく中でヤング博士らが作り上げたもので、特に境界性パーソナリティ障害および自己愛性パーソナリティ障害に焦点が当てられている。モードワークは本来、これらパーソナリティ障害患者の治療のために考案されたものだが、今では、多くの機能の高い患者にも用いられており、スキーマ療法に不可欠な部分となっている。
 治療が行き詰まったように思われ、患者の回避や過剰補償を打破できない場合には、治療をスキーマ・アプローチからモード・アプローチに切り替えるとよい。また、患者が著しく自罰的で自己批判的な場合や、解決不能と思われる内的葛藤を抱えている場合にも、モード・アプローチは有効なことがある。最後に、治療では一般に、境界性パーソナリティ障害患者にしばしば見られるように、感情が絶えず揺れ動く不安定な患者に対してモードが強調される。
 モードは、4つの主要な型(子どもモード、不適応的コーピングモード、機能不全の親モード、健全な大人モード)に分類されている。それぞれのモードタイプは、ある種のスキーマと関連している(「健全な大人」および「幸せな子ども」を除く)か、またはある種のコーピングスタイルを具体的に表している。
 患者の「健全な大人」を確立し、他のモードに対してより効果的に働くようにすることが、モードワークの最大の目標である。良い親と同じく、「健全な大人」モードには、以下に示すような3つの基本的機能がある:(1)「無防備な子ども」を養育し、肯定し、保護する機能、(2)相互利益および自制の原則に従い、「怒っている子ども」や「衝動的な/無規律な子ども」に制限を設ける機能、(3)「不適応的コーピング」モードおよび「機能不全の親」モードと闘う、あるいはそれらのモードを和らげる機能。治療が進むにつれて、患者は、セラピストの行動を自身の「健全な大人」モードの一部として内面化するようになる。治療初期に患者の「健全な大人」が機能しないときには、常にセラピストがその役目を果たし、治療が進むにつれて、徐々に患者自身が「健全な大人」の役目を果たすようになる。
 今回のワークショップでは、スキーマ療法のモードワークに関する7つの一般的なステップについて学ぶ。7つのステップとは、(1)患者のモードを見分ける、(2)小児期または青年期におけるそのモードの由来と、その適応的な価値(関連がある場合)を探る、(3)不適応的なモードと現在の問題や症状を結びつける、(4)あるモードが別のモードの利用を妨げている場合、そのモードを変化させる、あるいは放棄することの利点を明確にする、(5)イメージを通して「無防備な子ども」を呼び出す、(6)モード間で対話を行う、(7)治療セッション以外の生活のさまざまな状況にモードワークを一般化できるよう患者を援助する、というものである。

 参考文献
 ジェフリー・E・ヤング、ジャネット・S・クロスコ、マジョリエ・E・ウェイシャー著、伊藤絵美訳「スキーマ療法―パーソナリティの問題に対する統合的認知行動療法アプローチ」金剛出版(2008年)
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