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概要
認知再構成法とはアーロン・ベックがうつ病の認知療法において開発した、非機能的な認知(特に自動思考)を同定し、それを機能的で適応的な代替認知に置き換える認知的技法のことである。当初は古典的なうつ病に特有の「認知の歪み」を同定し、それを「正す」というニュアンスが強かったが、認知行動療法の適応が広がり、それに伴い、様々な疾患や問題に認知再構成法が活用されるに従って、認知が歪んでいるか否かということに焦点を当てるのではなく、その認知がクライアントにとってどのぐらい機能しているか、あるいは機能していないか、という、つまり「機能」「有用性」「文脈」に焦点を当てて活用されることが増えてきている。
本ワークショップでは、認知再構成法について概説した後、具体的な手順を示し、その後講師がデモンストレーションを行う。次にグループに分かれていただき、ロールプレイを通じてセラピスト役とクライアント役の両方を実際に体験していただく。その際、講師らがふだんの臨床で用いている認知再構成法用の図的なツールを配布し、そのツールを使っての体験をしていただく予定である。
認知再構成は複数のステップから成る複雑な技法であるが、なかでも特に「自動思考をモニターする」スキルと、「ターゲットとなる自動思考を、様々な角度からブレインストーミングを行って検討する」スキルが要である。またその際、自動思考を単に知的に頭で扱うのではなく、生き生きとした場面を想起し、感情を伴う体験として自動思考を扱うことが不可欠である。当日はこのような認知再構成法のエッセンスを体験的に学んでいただき、参加者自身のストレスマネジメントと認知行動療法の実践に役立てていただければ幸いである。
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