WS12
日本行動療法学会 第35回研修会

WS12
タイトル:
子どもと若者のための認知行動療法入門
講師:
下山晴彦

所属:
東京大学大学院教育学研究科

対象:
初級~中級

定員:
200名


概要
【認知行動療法の基本手続】
子ども/若者の認知行動療法(CBT)は、「問題となっている出来事について、子ども/若者がその意味をどのように解釈し、その原因をどのように考えるかという認知的側面を重視し、それとの関連で行動療法の技法を活用するのである。」(Kendall, Hollon,1979)と定義される。クライエントと協働関係を形成し、問題の成り立ちについて心理教育をした上で、問題解決に向け、認知技法と行動技法を適宜組み合わせ、日常生活で実践する課題を出していくという手続きについては、成人のCBTと同様である。したがって、まず認知行動療法の基本手続を確認する。
【子ども/若者のCBTの特徴】
しかし、子ども/若者のCBTにおいては、その認知的特徴から、以下の4点関して留意することがポイントとなるので、そのための方法を解説する。
①問題の外在化、②動機づけを高める、③重要な他者(特に家族)の協力を得る、④認知の発達レベルに合わせた非言語的媒体の活用
【ケース・フォーミュレーションの基本手続】
この4点を的確に実行し、適切に認知技法と行動療法を組み合わせて介入を実践するために必要となるのが、ケース・フォーミュレーション(CF)である。CFは、「問題に関しての、明確で単純で、共有された理解」と定義される。具体的には、問題をCBTの枠組みで見ていき、当事者の発達や家族に関する情報も含めて、問題が成立し、維持されている悪循環のプロセスを要約し、図式化するものである。CFの基本手続について確認する。
【CFの作成と活用の手続き】
上記の4ポイントに関して、下山研究室が行ってきたOCDの子ども/若者のCBTプログラム(http://www.p.u-tokyo.ac.jp/shimoyama/)を例として、アセスメントを実施し、情報を整理し、統合して問題が発展し、具体的な問題行動として発現し、維持されているプロセスに関する仮説としてCFを生成する手続き、それをクライエント及び家族に心理教育する手続きについて解説する。その際、「機能分析に基づく行動療法のCF」と「認知概念化に基づく認知療法のCF」、また「現在の問題行動の出現し、維持されているプロセスに関するミクロなCF」と「幼少時の体験から問題が発生・発展するプロセスを含むマクロなCF」に分けて説明をする。
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