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タイトル:
学校での粗暴行為、暴力行為に関する認知行動療法
概要
学校での行動問題は「学校」という特殊な状況が大きく関係し、様々なレベルで他の状況とは異なった様相を呈し、また問題を複雑にします。同年齢集団の中で起こっていること、教育の場で起こっているということ、生徒は発達の途上であるということ、そして多くの場合行動問題の修正に関して本人が強く動機づけられていないことなどがそういった状況としてあげられます。
認知行動論的な分析をすれば、行動に強化(周囲から認められる社会的強化を含む)が伴い、それを確認する思考(あるいは言語行動)が生じれば行動する機会が増加すると考えらます。逆に行動の結果嫌悪事象が生じた場合(うまくいかない、しかられる・認められないなどの嫌悪的な社会的状況etc.)、問題に関して回避的な行動(言語行動-思考あるいは情動を含む)が生じ、その結果問題場面に関する負の情動や回避する思考が先行事象として生じることにより解決する行動がレパートリーを持っていたとしても生起しないまま、問題解決のレベルが低下することになります。問題の改善にはこういった状況を把握していることが重要になってきます、これは単純にいえば、「生徒側からどう見えているのか」の分析です
学校とは単なる集団ではありません。「発達」等の変化が常に起こりつつ、その変化の中で相互作用が起こっていきます。当然その変化は集団に属する人たちにとっていつも好ましいものではありません。また学校では短時間でも状況が変化していきます、例えば授業、遊び、教科、仲間、先生etc.が入れ替わっていき、対応を求められていくことになります。反面、友達、仲間との相互作用や遊びなどではその人にとって意味がある(強化される)状況も多く生じます。その中で多くの接近、回避が繰り返されれば、思考、行動は大きく影響を受けることになり、時として行動上の問題も生じることになります。したがって問題の解決のためには行動問題そのものを低減するのみではなく、向社会的行動への動機づけを高める必要があり、環境の強化力を再構成していくこと(例えば思考パタン-評価としては 「先生もいいとこあるじゃん」「できねぇと思ったけど何とかなるじゃん」など)が必要になってきます。
本講座では以上のような観点から学校での行動問題に関する分析と対応を、主として粗暴行為、暴力行為を中心に考えて行きます。
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