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タイトル:
強迫性障害に対する短期集中集団治療プログラム
概要
短期集中集団治療プログラムとはエクスポージャーと儀式妨害(ERP)を数人から10人の患者グループを対象にして3日間で行うものである。3DI(3 Days Intensive)と呼ぶ。2005年,遠隔地からの患者に対応するために開発した。なごやメンタルクリニックでは過去3年間,300人以上の患者がこのプログラムを受けている。
3日間は全てが治療の時間であり,入浴や食事,買い物,トイレの時間も利用する。治療場面は診察室に止まらず,子ども服売り場やビデオショップ,サラ金店舗など通常は行かない所も利用する。3DIのメリットは,1)個人ではできなかった患者のEPPが可能になる,2)他の患者のエクスポージャー場面を観察することで他の場面や強迫観念への転移が生じる,3)治療者1人当たりで治せる患者の数から見た治療効率が向上する,4)連続した3日間を使い,食事や入浴,睡眠などの生活時間も治療対象にすることで強迫症状全般を対象にできる,などである。
このワークショップでは3DIのあらましと治療成績を解説する。エクスポージャーの課題には不潔なことをする,クレジットカードや免許証をロビーにばらまく,持ち物の置き場所を反対にする,最悪のストーリーをつくる,プチ迷惑行為や不道徳なことを口にする,などが含まれる。不潔や不道徳については治療者によっては自分自身の嫌悪感・倫理観のために,患者にさせることができず,さらには,できないこと=非倫理的,とみなすことがある。自分がして欲しくないことを他人にさせることは常識では確かに非倫理的であるが,強迫性障害はこのような常識的道徳観が肥大して日常生活を妨げる病気である。David Tolin Ph.DのOCD Projectのビデオを紹介し,常識的道徳観を越える課題も必要であることを分かってもらうようにする。
さらに,加害恐怖+確認儀式の患者に有用なイメージエクスポージャーである,最悪のストーリーについて,参加者が自分自身の臨床でも使えるようにする。
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