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タイトル:
統合失調症のメタ認知トレーニング(MCT)
対象:
その他(統合失調症の臨床に携わっておられる方ならば、経験は問いません)
概要
主に統合失調症の妄想に関して、その認知バイアスに対する新たな心理学的介入・援助法とそのマニュアルをハンブルク大学のモリッツ教授たちは開発し、メタ認知トレーニングMetacognitive Training(以下、MCT)と名づけました(Moritz & Woodward, 2007)。彼らのいう「メタ認知」とは、「自分の思考に関する思考」をさし、適切な反応を選択する能力や、情報への注目と評価、自らの認知的限界の理解とその対処法などを含みます。MCTは、次のように、8つの認知機能障害を介入対象としており、それぞれの介入は「モジュール」とよばれています。(1)自己奉仕バイアス、(2)「結論への飛躍」バイアス、(3)信念と一致しない証拠に対するバイアス、(4)「心の理論」の欠如、(5)誤りに対する自信過剰、(6)「心の理論」の欠如Ⅱ(自閉への欲求)、(7)「結論への飛躍」バイアスⅡ(固定した解釈)、(8)気分と自尊心。すべてのモジュールは丁寧な解説と豊富な図版によって、ノーマライゼーションと、妄想への対処法に関する心理教育と練習が行えるようデザインされており、認知行動療法的なホームワークによって学習の定着を図る構造になっています。基本的には患者集団(マニュアルでは3~10人)を対象として実施しますが、現在では個別の症例にも用いることができる新しいヴァージョン(MCT+[プラス])も作成されています。MCTは英国やオランダなど20ヶ国以上で翻訳され、効果研究も始められていますが、日本ではまだあまり馴染みがありません。
そこで、今回のワークショップでは、日本語版MCTとマニュアルを詳しく紹介し、参加者の日常臨床に役立ててもらおうと考えました。当日は、参加者の皆さんに当事者になったつもりでMCTを実際にやっていただきます。また、日本語版MCTとマニュアルのファイルが入ったCD-ROMを全員に差し上げます。
なお、日本語版MCTとマニュアルの作成は、日本学術振興会科学研究費補助金による支援を受けています(課題番号22530733)。
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